贈与税(暦年課税)の計算

開業の方も注意?贈与税の計算方法

兵庫県明石市の税理士、吉村です。

今年も残すところ3か月となりました。皆様は、贈与について検討されたことはありますか?

本日は、贈与税(暦年課税)の計算のしくみをご説明します。

贈与税は、一部の富裕層だけでなく、今後事業を開始しようとしている方で、開業資金を親族から支援してもらう場合などにも、考えておく必要があります。

【贈与税の計算方法】

 1.その年1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。

 2.1の合計額から基礎控除額110万円を控除します。

 3.2の金額に下記速算表の贈与税率を乗じます。

 4.3で計算した贈与税額を贈与を受けた者が翌年3月15日までに申告納税します。

(贈与税の速算表)

 

基礎控除後の
課税価格
特例税率
直系尊属(祖父母、父母など)から20歳以上の者(子、孫など)への贈与
一般税率
夫婦間、兄弟間、20歳未満の者など、
左記以外の贈与
税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10%
300万円以下 15% 10万円 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 20% 30万円 30% 65万円
1,000万円以下 30% 90万円 40% 125万円
1,500万円以下 40% 190万円 45% 175万円
3,000万円以下 45% 265万円 50% 250万円
4,500万円以下 50% 415万円 55% 400万円
4,500万円超 55% 640万円

※令和4年4月1日以後の贈与から「20歳」は「18歳」に引き下げられます。

【実際の計算例】

≪ケース1≫

65歳の父から35歳の長男が事業開業資金として現金600万円の贈与を受けた場合 ⇒ 特例税率で計算

基礎控除後の課税価格:600万円-110万円=490万円
贈与税額の計算   :490万円×20%-30万円=68万円

≪ケース2≫

70歳の祖母から17歳の孫が現金500万円の贈与を受けた場合 ⇒ 一般税率で計算

基礎控除後の課税価格:500万円-110万円=390万円
贈与税額の計算   :390万円×20%-25万円=53万円

贈与税が課税されない場合

扶養義務者から生活費や教育費のために受け取った財産、香典見舞金など社会通念上相当と認められるものには贈与税は課税されません。また、住宅取得資金を贈与受けた場合など、一定の場合は非課税になる場合があります。
詳細は国税庁ホームページ(贈与税がかからない場合)をご覧ください。

まとめ

いかがでしたか?
贈与税は、累進税率のため贈与財産の課税価格が高くなると、税率も高くなり、多額の贈与税を納税する必要が生じます。

富裕層のみならず、事業開始時にご親族から資金援助を受けられる予定の方は、贈与により受領するのか、借入にするのか、なども含めて検討する必要があります。

お悩みのかたは、よしむら総合会計事務所までお問い合わせください。