銀行は決算書をどのように見るか?
兵庫県明石市の税理士、吉村です。
本日は、銀行が融資先の決算書をどのように見ているか?ということでお話します。
なお、各金融機関ごとに様々な見方があるので、本ブログ内容が絶対ではないことは、最初にお断りしておきます。
銀行担当者は、決算書を預かったあと、すぐに財務チェックすることは稀です。
概ね下記の流れになります。
【銀行の財務チェックの流れ】
1.融資先より決算書預り
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2.銀行本部へデータ入力依頼
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3.貸借対照表と損益計算書の実態評価
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4.実態評価後に財務分析(定量分析)
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5.直近状況や今後の業績見込、代表者個人資力などを考慮(定性分析)
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6.信用格付が決定
ここで重要なのは貸借対照表と損益計算書の実態評価になります。実態評価に基づき、各財務指標(流動比率、総資本回転率、経常利益率、自己資本比率etc)によるスコアリングにより定量分析を行います。
なお、2019年12月に「金融検査マニュアル」が廃止されましたが、私の知る限りは、まだまだ財務内容に基づく信用格付が銀行取引方針に大きく影響しています。
【貸借対照表と損益計算書の実態評価方法】
各金融機関ごとに違いがありますが、基本的には貸借対照表は時価評価(ただし、事業用資産は簿価評価の場合も)、損益計算書は臨時損益は除外します。また、キャッシュフローベースと借入金を比較します。
【信用格付の重要性】
信用格付は、基本的に決算毎に行うので、1年間有効となり、銀行の取引方針が決まります。つまり、信用格付が高いと、銀行側としては貸倒リスクが少なくなるため、低金利かつ長期間など有利な融資条件を引出しやすくなります。
【信用格付と債務者区分】
たまにお客様から「うちは銀行担当者が正常先だと言っていたので大丈夫!」と言われる場合がありますが、「正常先」というのは債務者区分の話です。
正常先の中にも、当然ランク分けがあり、それを信用格付といいます。
【まとめ】
銀行担当者に決算書をそのまま渡すだけだと、どのように実態評価をされるのか分かりません。科目内訳書を見ても内容不明の項目があれば、保守的な評価により、御社の信用格付が低く設定される可能性もあります。
本ブログでは、より具体的な評価手法や対応策などの見解は企業秘密のため記事にしませんが、経営者の皆様は一度これまでの決算&銀行対応について、再検討されてはいかがかと存じます。
私は、銀行での実務経験と大阪の会計事務所において様々な地方銀行や信用金庫との折衝を経験しており、アドバイスが必要な方はご相談に応じます。
なお、財務分析について、もう少し知りたい方は、下記ブログもご覧ください。